リフォーム通信

2021/02/15

リフォームお役立ち情報

インターネット接続は無線か?有線か?リフォーム工事の際にはどのような点に気をつけて工事をするべきなのか?情報通信とリフォームの観点から、分かりやすくご説明いたします。

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インターネット接続は無線か?有線か?リフォーム工事の際にはどのような点に気をつけて工事をするべきなのか?情報通信とリフォームの観点から、分かりやすくご説明いたします。(32分6秒)

現代社会では切っても切れないインターネットサービス。

それを利用するためにも、インターネット環境は重要となります。

ただし、お住いのリフォームをするときに、一緒にインターネットの情報通信環境も工事をして、となっても、リフォーム会社が建築のプロであっても、情報通信のプロでない場合も多いです。

そこで、大手通信会社における情報通信の知見を元に、リフォーム会社目線で、そもそもインターネットとは何なのか、どういった規格があり、現状では何が一番適切なのかをご紹介いたします。

動画目次

動画内容 解説

Twitter界隈で、有線でのLANケーブルをお願いしたら、今は無線があるんですよ!というやり取りが話題を集めていました。

確かに、リフォーム会社目線でいうと、非常に共感できる部分もありますが、そもそもLANケーブル?インターネット?という観点から、また、無線?有線?インターネット?という方にも分かりやすく書いてみました。

最後には、リフォーム目線で、どうすべきかももちろんまとめています。

皆様のご自宅の情報通信環境のお役に立てれば幸いです。

まずはつながる流れ

ISP(インターネットサービスプロバイダー)というところで契約することでインターネットの利用が可能となります。

一昔前は、インフラ会社の設備は設備(例えば電話回線)で契約し、その上のインターネットサービスは別途契約する(電話回線を利用するSoftbankBBのADSLサービス等)ものが一般的でした。

最近は、非常に多くの会社がインフラ会社の設備を借り受けることで一体的に、ISPとしてインターネットサービスを提供しています。

携帯電話会社であるドコモはドコモ光というサービスでインターネットサービスを展開していますし、速さを売りにしているNURO光などもその一つです。

その後、お住いに、モデム/ONU/ルーター(場合によっては一体型機器)などの機器が設置され、その機器において、信号の変換や、インターネットに接続するための設定などが行われます。

そして、ルーターに、有線や無線などでPC等が接続され、一連の流れによって、インターネットが利用できるようになります。

ISP→モデム/ONU/ルーター→(無線/LANケーブル)→PC等

このような一連の流れになります。

インターネットの速度の単位

速度が早い、遅いの話をする前に、インターネットの速度はどのような単位で示されることが多いかというと、bps(ビーピーエス)という単位で言われることが多いです。

最近は、ギガがない、など、通信容量をギガと呼ぶ風潮が強くなっていますが、ギガはあくまで大きさを表す言葉ですが、通信容量そのものを指す言葉として市民権を得ていますね。

1Gbpsは1024Mbpsとなり、1Mbpsは1024kbpsとなり、1kbpsは1024bpsとなります。

ADSL時代は1Mbpsなどのサービス種別であったのが、現在は2Gbps(2048Mbps)のサービスが有るなど2000倍以上の速度になってきています。

実際にインターネットの接続速度で、どれぐらいの体感が変わるのかまとめてみました。

仮に通信速度が1Gbps出ている状態と、5Mbpsの状態を比較しても、映画(2Gbyte程度)を考えると、片や1分に満たず、片や1時間近くと非常に多くの違いが発生します。

ボトルネックがあるとインターネット接続が遅くなる!

どこかに影響があり、全体のパフォーマンスが下がることをボトルネックなどと呼ぶこともありますが、これはインターネット接続も同様です。

ISPを経由したインターネット接続において、モデム/ONU/ルーター、無線種別/LANケーブル種別、PC等の種類によっては、速い速度を出すことが出来るのに、出ない場合も存在します。

図のように、ISPのサービス規格や、機器類の上限、PC等の上限速度には余裕があるのに、LANケーブルのタイプが古かったばかりに、通信速度がままならないことも考えられます。

実際にサービス毎の上限速度まで出る?

ISPのサービス種別などで、2Gbpsサービス!となっていてもあくまでも規格上の理論的な数値であり、それがMAXまで出ることは殆どありえません。

ボトルネックという話もありますが、無線LAN環境で、2環境で測定を実施してみました。

利用した場合は、法人用回線サービス(最大1Gbps)で280Mbps、個人用回線サービス(最大2Gbps)で260Mbpsの速度を計測しています。

あくまでサービスの規格上の理論値であり、実際に速度を計測してみると、ここまで減衰していますが、一般的な用途であれば、十二分の速度です。

有線LANケーブルの速さの規格

実は同じように見えるLANケーブルも、Cat(カテゴリ)と呼ばれる規格で、いくつか種類があったりします。

現在市販されているLANケーブルはCat5eなので最大通信速度が1Gbpsのものとなっており、一般的な利用であれば、Cat5eで十分です。

より上位であれば、その方がいいのではと思われるかもしれませんが、Cat6Aの一部や、Cat7からはSTPケーブルという特殊なLANケーブルが用いられます。

それよりも下位なケーブルでは、ノイズ対策の処理をしていないという意味で、UTPケーブルという名称となっています。

STPケーブルは、より早い通信を行うために、外部からのノイズを拾わないように、アース処理などが必要となりますが、そのLANケーブルを販売しているサンワサプライのホームページには下記のような記載もあります。

Q.UTPとSTPの性能差はどこにありますか?

A.UTPはアンシールディッドツイストペアの略称で、「シールド無し」の意味です。STPはシールディッドツイストペアの意味なのですが、規格上の正式名称ではありません。正式にはFTP(フォイルディッドツイストペア)と呼びます。また、規格の中にはScTPと呼ばれるケーブルが存在します。ScTPは外周だけではなく、それぞれのペアもシールドされており、非常に硬く、取り回しがしにくいケーブルです。UTPとFTPの差ですが、外部からのノイズには双方とも無力です。シールドは外部ノイズではなく、ケーブル自体から輻射されるノイズ抑制に効果があります。特にEMIと呼ばれる低周波数の電磁ノイズ(電力線、モータ、蛍光灯)には、全くと言って良いほど効果が期待できません。
むしろ、外皮のアース部分が伝導体となって、異なる電位(アースがきちんと行われていない機器にたまっている電圧)の機器が接触し、ケーブルの中を流れたり、場合によってはスパークし、逆にノイズを発生することがあります。通常使用にはUTPを用い、外部ノイズの遮断には鉄管などの磁性体(磁石のくっつく物体)で覆うのが一般的で確実な方法です。

SANWA SUPPLY LANプロ(LANに関するよくある質問)より抜粋

よって、必要性に応じてはあるかもしれませんが、Cat6A規格(最大10Gbps)のUTPケーブルを利用するのが最適解と言えるのではないでしょうか。

無線LANの速さの規格

無線LANの規格は、一昔前はa/b/gなどの規格の語尾につくアルファベットで呼ばれていました。

現在発売されているものの多くはac(最大6.9Gbps)であることが多いです。

また、遠距離でも多少遅くなっても通信できるが電子レンジなどの影響をもろに受けるのが2.4GHz、近距離で途中の障害物などに弱いが早く伝送することができる5GHzなどの種類があるのにも注意が必要です。

余談ですが、最近は携帯の次世代規格として5Gと呼ばれるより早く、より短時間で、より多くの端末と通信できる規格がありますが、wi-fi5の5と混同して扱われることが多いので注意が必要です。

無線LANの呼称自体も、IEEEという規格名が標準機関によって割り当てられいますが、業界団体がIEEEの規格名だと分かりづらいので、wi-fi4、wi-fi5、wi-fi6などとさらに割り振り直しがされている状況です。

これら無線LANの規格として新しいほうが早い速度で通信が可能ですが、IEEE 802.11ax(wi-fi6)以外は、その無線LANにつながるために機器側(スマホ、PC、タブレット等)がその無線規格に対応している必要があります。

IEEE 802.11ax(wi-fi6)は、下位互換が前提で作られているので問題ありません。

有線?無線?

ここまで、ご覧いただいたように、有線LANでは最大通信速度が10Gbps、無線LANでは最大通信速度が9.6Gbps程度であると考えられますが、あくまで最大可能な通信環境です。

また、有線LANに比べて、無線LANは外部の影響に大きく影響を受けやすく、外部の状況によっては非常に速度が低下する場合も多くあります。

しかしながら、無線LANは物理的なケーブルを利用せずとも、電波だけでインターネットに接続が可能なため、その手軽さが重宝できます。

オンラインゲームで通信速度や、反応速度など、コンマ1秒を争う品質が必要であれば、有線LANをおすすめします。

一般的な家庭であれば、オンライン動画視聴などを含めても、無線LANで対応は可能なのではないでしょうか。

リフォーム目線での有線LAN工事

パナソニック 情報(LAN)配線システム

有線で工事する場合は、やはりコンセント箇所にLANケーブルがそのまま刺さるのがスッキリとした運用が可能ですね。

我々リフォーム会社側で、各部屋のLANモジュラージャックや、壁内でのLANケーブル敷設などを実施させていただき、利用時はお部屋の中からLANモジュラージャックに指すだけで通信が確立します。

機器を置く場所にあわせて、部屋内のLANケーブルを変更することで、長さなども最適な長さに変えることも出来ます。

この壁にLANケーブルが刺さるモジュラージャックも、パナソニックの部材を見てみると、CAT6(最大1Gbps)と、CAT6A(最大10Gbps)があるので注意が必要です。

将来的な、規格変更、故障時の修理など万全の状態を保ちたい場合は、図のようにLANモジュラージャックなどは設けずにすることも検討の余地はあるかもしれません。

我々リフォーム会社では、壁内をCD管などと呼ばれるケーブル類を通すための管路を敷設させていただき、必要に応じて、ケーブル類を通すこととなります。

将来的なケーブル規格変更や、万が一のケーブル故障時などにも、迅速に対応が可能となる反面、ケーブルの成端(先端のコネクタを作成する)などの作業が発生する可能性もあり、少し玄人好みの仕様になると思います。

もちろん、コンセント箇所に図のような形状の部材を用いることで、比較的すっきりと、コンセント箇所にLANケーブルを通して敷設することが可能です。

STPケーブル

一切のノイズ対策を施していないUTPケーブルに対して、ケーブル自体にノイズ対策を施しているSTPケーブル。

Cat6Aの一部から上位については、STPケーブルを利用する規格となっておりますが、STPケーブル敷設にはアース処理を施す必要があります。

一般家庭でアースと言うと、洗濯機や、冷蔵庫のコンセントのところにあるアースを思い浮かべるかもしれませんが、こういった一般家庭用のアースではなく、あとから機能用設置を設けることはあまり現実的ではないように思われます。

先に述べた、サンワサプライによるように、UTPケーブルを用いるべきかと考えられます。

リフォーム目線での無線LAN工事?

無線LAN工事において、我々リフォーム会社がお手伝いできることはあまりありません。

注意点として、鉄は電波を吸収するため、鉄筋コンクリート造や、鉄骨造の建物は、無線LANの電波が中々うまく飛ばないことが多いです。

その場合は、有線LANを利用したり、PLCという電源コンセント(電源線)を利用して通信をする機器もありますので是非ともご利用ください。

そもそものネットワーク配線?

パナソニック [マルチメディア]ポートS ギガ

あまり知られてないかもしれませんが、有線での情報配線用に配線板相当で、LANケーブルの敷設ができるマルチメディア配線設備があります。

多数のLANケーブルを敷設したり、あわせてTVの同軸ケーブルもまとめることができるので是非ともご検討ください。

まとめ

  • 通信のボトルネックとなる箇所に注意
    • 特に古いLANケーブルなどは分かりづらいかもしれませんので注意が必要です。
  • 無線?有線?
    • 一般的な利用であれば、無線LANで十分です。
    • ただし、鉄筋コンクリート造や、鉄骨造の場合は有線やPLCがおすすめです。
  • 有線LANのリフォーム工事
    • LANのモジュラージャックなどを設ける場合は、規格による最大通信速度に注意しましょう。

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